京都新聞朝刊毎週火曜日連載(2014年〜2017年)レシピ&コラム連載を書籍化「アス飯レシピ」。スポーツ栄養に特化したレシピ、栄養解説、料理photo、原稿の全てを自身で担った初著書。企画:塚本宏・岡本壮・国貞仁志(京都新聞社)動画編集:龍 太郎(京都新聞社)編集・構成:山形恭子(オフィスK)装丁・デザイン:佐野佳菜(いろいろデザイン)今岡弓子(京都新聞印刷)
http://www.kyoto-np.co.jp/politics/article/20170808000131
http://www.kyoto-np.co.jp/shiga/article/20170927000034
京都新聞連載を開始当時から振り返る
http://yamasefamily.com/archives/4389
当初、運動部がターゲットとして考えていたアスリートや、アスリートを支える家族、アスリートを目指す子供たちや親御さんではなく、最初に響いて、京都新聞に投書や手紙が入ってくるようになったのは、何と60代以上の方が殆ど。
現在のようなW杯期間中など特集紙面の関係で、連載が休みに入る週には、楽しみにしていた読者の方から、運動部に電話がかかってくるようにもなっていました。
あらゆる栄養素をまんべんなく必要とする、バランスのとれた地に足のついたアスリートの栄養食は、どんな世代にも響く食事であることを確信した、私にとっては大きな出来事です。
加えて、付属されていた、未熟ながらも赤裸々なコラムが付加価値となり、訴える力となりました。
このアス飯書籍は、連載86回のうちの半数以上のコラムが、書籍ページ数の関係で入れることができませんでした。
個人的にはコラム数をもっと増やしたかったのが本音。
しかし、時系列をつけ、主役となる夫にスポットを当て、ストーリーを持たせて「読める」構成を組むのであれば、主観や先入観、3年間の創り上げたイメージから自身を放ちきることができない著者の意向より、寧ろ第三者の、多方向からの「初見視点」の方が重要だと思っていました。
そして、出来上がった書籍の全体像を俯瞰した時に、この感覚はやっぱり正しかったと、想いは確信に変わりました。
誰が書いているかなど最早ちっぽけな領域で、この素晴らしい可能性が詰まったコンテンツを、何のために今、表に出すのか。
これは、著者の表現の場ではなく、1アスリートを追った本でもなく、読者の皆さんの明るい未来のため、子供たちのため、そこに関わる全ての方へ切なる願いが込められた本。
私1人ではなく、たくさんの人の力が合わさって成長を遂げたという事実に、とてつもなく大きな意味があります。
様々な角度から見ていただきたいのです。
付け加えるなら、私の発信したものは1つのアイディアにしか過ぎません。主役は読者の方。
書籍を手にしたことをきっかけに、読者の方が率先して行動し、更なる良いものを生み出し、育んでいく。自分も頑張ろうと感化され、元気になったり、全ての方の、今日より明日の未来が良くなる、発展していくことが1番重要なことです。
この感覚は、新聞連載時からずっと変わらず持っています。
勿論、私にももっと自由にやってみたいことが無いわけではない。しかし、それよりも、誰かの勇気に、励みに、生きる力になることに想像力を働かせて、幅広い年齢層、幅広い読者の方に喜んでいただるものをご提供させていただけることの方が、ずっとずっと幸せです。
連載時に書いていたコラム。
題名をつけるのは、著者である私ではなく、担当デスクでもなく、全く関係のない方が初見で、つまり、第三者の第一印象によって紙面のコラム題名が決まります。紙面を皆さんのところに届ける前に、新聞社内でも、1つの文章に対し、多方面の視点が入るように心がけられています。
たくさんの手にとってくださる方のことを全力で想う
これが、ものづくりの原点と私は思います。
現在は、体がもうすぐ赤くつぶつぶになってくるかもしれないほど明太子と向き合っている毎日ですが、私が明太子と仲良しになるのが1番大切なことではなく、見てくださった方がいかに明太子と仲良しになれるかを想像しています。