毎年、ブラッシュアップの為に、どんなに忙しくても外部での学び(刺激)を必ず入れるようにしています。
昨年、愛媛県男女共同参画センターで開催された長島司先生の精油化学講義が非常に面白かったこと。2回程呑み🥂もご一緒させていただき、純粋に長島先生を好きになったこと。日本の地に生まれ、日本各地を転々と暮らす中で、私たちの生活を支えてくれる木々や植物のことをもっと奥深く知りたいなと。
写真転載元 東北森林管理局「青森ひば」
https://www.rinya.maff.go.jp/tohoku/syo/aomorizimusyo/aomorihibatoha.html
昨年講義で学ばせていただいた『閾値』についてです。現在インターネット上で公開となっている
長島司先生の寺子屋
https://cedarfarm.info/pg47.html
抜粋させていただくと、オレンジ精油の化学成分のおよそ95%はリモネン。その他ミルセンなどのモノテルペン炭化水素成分。しかしそれらはオレンジの香りとして重要なものではなく、1-2%前後含まれる成分が重要な役割。特にオクタナール、デカナールは強いパクチーのような香りの成分。少量存在することでオレンジのフレッシュグリーンノートを演出。またオレンジの甘い香りはセスキテルペンアルデヒドのシネンサール。どれも香り閾値が低く、微量でもしっかりとオレンジのパフォーマンスを演出。
オクタナールの含有量=0.4% 香り閾値=0.7μg/L OCi値=0.59
シネンサールの含有量=0.1% 香り閾値=0.1μg/L OCi値=1.0
リモネンの含有量=95% 香り閾値=200μg/L OCi値=0.47
OCi値は精油中の香りの強さを示すもので、リモネンは95%含有しているにも関わらずOCi値は0.47で、シネンサールは0.1%しか含有していないがOCi値は1.0と高い値を示す。つまり、精油の成分含有率は成分組成であって、香りへの影響はOCi値で見ると、どの成分が香りとして大事なのかよく分かる。リモネンなどのモノテルペン炭化水素の役割は「リフティング効果」、香りを持ち上げる効果が重要な役割を持ちます。
次回ふくやさんのYouTubeで公開となる動画でもαピネンの話をしていますが(編集が入るので使って貰えない可能性もありますが。笑)これもモノテルペン炭化水素類。森の中では香りを周囲に拡散するという役割を持っています。単純な化学成分と作用だけを見るのではなく、このようにもっと深いところまで読み解いていくと興味深い。
近年青森ひば、クロモジ、柚子などの精油を芳香浴で頻繁に使用するようになりました。生まれ故郷、北海道十勝郡浦幌町の花がハマナス。これもサイエンスで読み解きたいこと。
この数年は食分野でも自身が2005年から地道に取り組んできた植物化学にスポットが当たるように。香りの成分を皆さんにお伝えする時、化学に基づいた専門的でよりストイックな視点、抽象的ではなく論理的に表現できるようになれば、新たな切り口としての食の可能性や魅力をもっと広げられる。また精油をブレンドするように香り成分を考慮すると、試作の幅も広がると感じました。
このような理由で森の香り、里の香りをオンライン受講させていただきます。
https://18th.co.jp/concierge/concierge/
大枠は
Lesson-1 森の香り・里の香りの概要
日本全国での精油生産状況の包括的な解説と、おかれている現状についてを解説し、日本の精油生産の実情を理解。
Lesson-2 l香りの基礎化学(Part-I &Part-II )
森の香り・里の香りを構成する香り成分について、成分分析方法を含めて化学的に解説し、香りをサイエンス視点で考える力を養う。
Lesson-3 精油の生産技術
水蒸気蒸留を中心に、どのようにして精油ができるのか、芳香蒸留水との関係、生産管理などについて解説し、生産者にコンサルティングする力を身に着ける。
Lesson-4 森の香り各種(各論)Part-I(2時間)
針葉樹系の樹木について、香り体験を通して樹木類香り成分について解説し、樹木精油を包括的に理解。(トドマツ、アカエゾマツ。青森ヒバ、ヒノキ、コウヤマキなど)
Lesson-5 森の香り各種(各論)Part-II(2時間)
広葉樹について、香り体験を通して広葉樹の香り成分について解説し、樹木精油を包括的に理解。(クロモジ、ニオイコブシ、クスノキ、芳樟など)
Lesson-6 里の香り各種(各論)(2時間)
里の香りについて、香り体験を通して香り成分について解説し、里の香りを包括的に理解。(ラベンダー、ハッカ、シソ、ユズ、月桃、ハマナスなど)
Lesson-7 森の香り・里の香りを調香に生かす(2時間)
森の香り・里の香りをベースにしてフレグランスを創り、応用していく手法を学ぶ。
フィールドワーク(南会津蒸留所 1泊2日)
一十八日が管理する南会津の蒸留所に滞在し、クロモジ採取、蒸留器の解説と運転、出来上がった精油 の製品化などの体験実習。
※Jが再開すると過密日程、自身の仕事もハードで自宅を開けられないのでフィールドワークは今年度は難しい。余裕が出来た時に伺う予定でおります。