味の明太子のふくやさん2021年春のギフトスタイルブック VOL.8 『O’clocca(おくろっか)』撮影秘話

※2月4日分の日記を再掲載

#味の明太子のふくや さんの2021年春のギフトスタイルブック VOL.8 『O’clocca(おくろっか)』表紙及び巻頭カラー8ページを

https://www.fukuya.com

#九州の食卓 の雑誌編集を手がける編集者兼カメラマン、株式会社ナインフィールドの坂田圭介さんとふくやマーケティング部販売促課カタログ担当の柿本さんに、2日間かけて取材・撮影していただいた。

https://9syoku.company

http://9syoku.shop1.makeshop.jp

実はこの雑誌、福岡で暮らしていた頃、自らで足を運び行く系統のあちこちのお店で頻繁に目にした好みの雑誌。質感も色合いも絶妙なニュアンスで、あたかも細胞から喜びが湧き上がるような写真は、読み手を自然体に引き戻してくれる。

料理家のかるべけいこさんの素朴な料理に心洗われたり、料理研究舎リンネさんの野草クッキーは眺めているだけでも癒しをいただける。

https://taberutokurasuto.com/shop/linnelabo/

何度か購入もして、友人にプレゼントしたことも。パッケージデザインもみずみずしく何とも可愛いらしい。

撮影期間の2日間、私は『撮られる側の立場』として現場に入った。

2011年より料理研究家として活動した10年間は、長期に渡り紙面連載を持たせていただくことが多かった。撮影現場にはカメラ、照明、調理・アシスタントなどの数々の専門職の方がいらっしゃって、当然、それぞれの分野のプロが入る方が作品のクオリティは圧倒的に高くなる。しかし連載となると短いスパンでは毎週のように〆切がやって来る。発売の度に取材・撮影に来ていただくことになれば、夫のサポートに大半の時間をとられる異色環境下ではスケジュールがタイト過ぎて身動きが取れない。そのやり方では雑誌社ではなく、私の方が先に疲弊、限界が来てしまう。

ではどのようにして仕事を継続して来たのか?

答えは簡単だ。何もかもを自らの手でやること。

というより、それしか選択肢がなかった。

初めの方に打ち出していたものを見返すと、とんでもないど素人の曝け出し。原稿も、料理も、カメラも全て、どんなに全身全霊でやり切った感があったとしても、極めてクオリティの低いものしか上がってこない。

そんなの当たり前だ。

通常、沢山のプロフェッショナルの皆さんが集結して行う作業を、経験の乏しい人間がたった1人で、右も左も分からず暴れるようにして行っていたのだから。

つまり雑誌社の表現というのは『魅せていく』に特化していなければ、いくらレシピクオリティが良かったとしてもNGということに結論付けられる。

だからこそプロ集団が必要で、撮影スタッフ陣はそこに魂を注いでいる。盛り付け、色合い、光、温度など写真も含めた見栄え、そしてここにのせていく言葉も重要。

しかし私は、どこから切り取っても中途半端で、何一つとして誇れるものを持っていなかった。

また、メディア媒体で使用する写真は、第一にピンが入っていなければそれが何よりのハネられる要因となる。しかし私はピンの甘さをなかなか修正出来ない。いまだにエンドレスで再撮がかかっていることも多々ある。

そもそもこの業界は1回で上がりが来ることなど先ず無いと言っていい。初校から始まり何度もやり直しを重ね、段階を経てようやく1本の作品を仕上げられる。

印刷まで到達し、いざ発売になっても、イレギュラーで突然前号と紙質が変わったり、印刷の色の入り加減に変化が生じていたりと、ここでも原板と仕上がりのイメージに大きな誤差が出て、その度に一喜一憂する。

このように、あらゆる事象が複雑に絡まり合って出来上がっているため『上手くいった』と感じられたことがいまだかつてないという発展途上である。

原稿も幼稚、短絡的な作文に近い。(カメラも文章も10年も経たいまだに成長が乏しい。原稿に関しては京都新聞記者の皆さんが私の素人ならではの伝説的なエピソードを数多く持っていらっしゃる)

しかし、不器用だからこそ、やり直しをする機会が他の誰よりも多くなり、それぞれの分野で経験させていただいた総数も膨大となったのではないだろうか。

思案から始まり、試作、料理、撮影、栄養を整える、クライアントさんへ解説を入れる、紙面原稿を書く、編集者と仕上げまでのやり取りを重ねる、時に取材も自身で行う。

気づけば1人でもそれなりのことが出来るようになっている。

クライアントさんにとってみれば

『描く円は小さいけれど、マルチスキルがあり使い勝手の良い女』

こんな印象だろう。

そしてこれがたまたま時代のニーズに合った。

『普通』『中途半端』だったからこそ出来たこともあるということを強くお伝えしておきたい。

撮られる側の立ち位置に入った時は、カメラマンさんの仕事をよく観察するようにしている。分からない時は質問したり、その都度メモをして自宅に持ち帰り、実際に試してみるの無限ループ。

九州の食卓のカメラマンさんには我が家の撮影機材やレンズなんかも色々見ていただき、自宅の光の入り具合も確認してくださった。今の家で出来得る撮影に関する様々なノウハウをいただいた。

本当にありがとうございます。

追記

2月4日に投稿したこちらの投稿を坂田さんが見てくださり、素敵なメールをいただきました🌸

山瀬 様

その節は大変お世話になりました。

久しぶりの松山で楽しい時間を過ごさせてもらいました。ありがとうございました。

ブログの記事、拝見しました。

大々的に雑誌をご紹介いただき、重ねて感謝です。

色々と大変なこともあったけれど、

雑誌を続けて来たことは決して無駄ではなかったんだなとしみじみと感じました。

また、山瀬さんの写真や文章に対する真摯な思いは

それを専門の仕事としている我々にとっても

色々な意味で気付きのあるものでした。

襟を正し、初心に帰って仕事に取り組まなければと

改めて思った次第です。

またご一緒にお仕事させていただける日が来ることを

心待ちにしております。

まだまだ大変な状況が続きますが

お体ご自愛の上、ご活躍されることをお祈りしております。

追伸

確かに写真や動画も撮るカメラマンでもありますが

本業は編集者です。

九州の食卓については、発行人として私が雑誌を立ち上げ編集長として10年間、発行を続けて来ました。だからこそ、山瀬さんのコメントは誰よりも嬉しかったです。ありがとうございました。

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株式会社ナインフィールド 坂田圭介

〒869-1235 熊本県菊池郡大津町室148

https://9syoku.company/?page_id=7217

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九州の食卓セレクトショップ

TEL 096-292-0581 FAX 096-292-0569

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