野菜の摂取について

野菜の摂取について

つい先日、管理栄養士の先輩から

『若い学生向けの指導で野菜の摂取を促したいから、山瀬選手の食事風景写真を幾つかいただけないか』

とお願いされ、改めて気付きました。

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確かに我が家の野菜消費量は多い。まるで「草」を食べているかのような食卓になっていることもしばしば。

専門分野の植物化学(我が家の主軸が野菜、果物、スパイス、ハーブ等の薬草を利用した植物療法=フィトケミカル栄養学)でメーンとなるような植物については、2007年頃、夫が横浜F・マリノス在籍時代から自身で育てることにしました。身近なスーパーではたまにしか置いていないものが多く、自分で育てた方が手に入れるのが確実だったからです。

最初はローズマリーやパセリ、ミントやバジル、ディル、タイム、オレガノなど、強い抗酸化力を持ちながらも、比較的育てるのが容易な植物達から。

現在は自身が所属する日本メディカルハーブ協会、日本ホリスティック医学協会、日本アロマ環境協会、日本スポーツアロマトレーナー協会等の植物各論の講義でブラッシュアップし続けている、精油を含めた約100種類近くの植物を栽培。毎日の食卓に利用しています。

現在、栽培用の植物の殆どは愛媛県・今治市 ハーバルハウスカワカミの河上さんより購入。河上さんはハーブ博士👩‍🎓今では大親友です。

栽培以外の、身近では手に入りにくい経口摂取用植物に関しては、母校・グリーンフラスコ研究所からの取り寄せが殆ど。

以下、データベースにあるような植物が我が家のメーンとなっています。(ただしドーピング関連植物は省く)

http://www.greenflask.com/herb_db/

私の第一師匠は、現・日本メディカルハーブ協会理事長である林真一郎先生です。

【林真一郎先生プロフィール】

グリーンフラスコ代表 東邦大学薬学部薬学科卒 薬剤師 臨床検査技師 東邦大学薬学部客員講師 日本赤十字看護大学大学院非常勤講師 静岡県立大学大学院非常勤講師 城西大学薬学部医療栄養学科非常勤講師 著書に『臨床で活かせるアロマ&ハーブ療法』南山堂 『高齢者介護に役立つハーブとアロマ』東京堂出版 『メディカルハーブの事典』東京堂出版 ほか多数

化学から学んでいくと植物の機能性や作用機序、体内でどう巡りどのような影響を齎すのかというメカニズムまで理解を深められるようになります。様々な研究データを実際に体感し、日々移りゆく千差万別な理論をより柔和に落とし込んでいく為に、また体験学習の一環としても植物栽培を行うようにしています。

食事はフレッシュな生食材も多く利用。野菜を用いたたっぷりの発酵食品を始め、炒め加熱調理するならば糖化させない為にサッと。これはカロテノイドや脂溶性栄養成分の吸収を促す為。全般的に蒸し料理、野菜の細胞壁を壊し煮汁に栄養素を移して高い抗酸化力を持つ植物化学成分を体内に摂り入れる技法のスープ類が多く、揚げ物に関しては大怪我を繰り返した2004年からは自宅でも一切しなくなりました。これは、痛みを助長させない抗炎症狙いだとか糖化対策の為。脂質はオメガ3かMCTをフレッシュでいただいたり、魚脂、アボカド、麻の実、ナッツ類(インカインチやヘンプ油、グリーンナッツ油)の脂質を利用。野菜スープ等から植物化学成分を効率良く手っ取り早く栄養素、非栄養素を摂取するなどして、植物の摂取の仕方を夫のその日、その瞬間の体調と総合的なバランスを見て工夫、調整をしています。

 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

2001年から2022年までの21年間の流れは、以下の記事を追っていただくと大枠が分かります。昨年、2022年の秋口に取材していただきました。

【41歳MF山瀬功治を支えた妻の“料理”と“化学” 大怪我で“引退危機”から復活に導いた普通と違う食の視点「受け入れてもらえなかった」2022.10.22】

https://www.football-zone.net/archives/408662

 

 

 

朝起きて直ぐの排泄物の確認、胃腸の状態、肌、視覚や脳、ウエイト、本人のその時の感覚、けがを抱えているなら、けがの部位の痛みや腰のはり等に合わせ、基本は作用機序から植物を選択。2020年からは血液解析データ分析を元に、不足や消耗の激しそうな栄養素を先取り。ダイレクトに入れたり、プラスαを選ぶようにもなったので、これまでの知識と経験の引き出しからもの凄い数の食材が瞬間的に脳内を駆け巡り、そこから直感でピックアップされたものが献立のベースに入っていきます。

夫の現状態をズレの無いように見抜き、抱えている問題やなりたい心身に対し、ピンポイントで栄養素を入れる底力が必要。

 
 

夫の身体合わせて野菜、果物、ハーブ、スパイス、ジビエなど複数種類を調合していくので、もう2度と同じ食べ物は出来上がらないくらい、毎度、かなり独特な構成が組まれている感じ。

例えば上記に取材していただいた記事末尾にあるように、スープベースの一種に一例としてカモミールを選択している場合、植物学では胃炎、胃潰瘍の疼痛の原因となる平滑筋の痙攣に対してアトロピンやパパベリンなどのアルカロイドの抗コリン作用に頼るのでは無く、フラボノイドのアピゲニンやテルペノイドのリナロール、メントールなどの鎮痙、鎮静作用を活用しています。

「 ジャーマンカモミール 」

【 学 名 】Matricaria chamomilla , Matricaria recutita

【 科名 】キク科

【使用部位】花部

【主要成分】 精油 ( α- ビサボロール、カマズレン )、マトリシン、フラボノイド(アピゲニン 、ルテオリン)

【 作 用 】消炎、鎮静、鎮痙、駆風

【 適 応 】胃炎、胃潰瘍、月経痛、皮膚炎

ジャーマンカモミールの主要フラボノイドのアピゲニンはクエルセチンやルテオリンより鎮痙作用が強く、抗不安作用も有している。カップから立ち上る香りは嗅覚経路で情動に変化を齎し、ストレスを和らげ心身にリラックス効果も。内服によりカマズレンがヒスタミンの遊離を阻害。αビサボロールがシクロオキシゲナーゼやリポキシゲナーゼを阻害し消炎作用を齎す。更にフラボノイドのアピゲニンがベンゾジアゼピン受容体のリガンドとして働き、鎮痙、鎮静作用を齎す。

植物療法では多様な成分が多様なメカニズムで生体に働きかけて相乗効果を齎している。

これは一例ですが、生姜は乾燥させるとショウガオールが増える為、リウマチや関節炎他、夫の現場でよく起こるスポーツ障害についてはフレッシュ食材に合わせて乾燥させたものを利用した方がショウガオールの栄養摂取効率が良くなる場合も。

 

 

 

 

 

植物は状態によって栄養素が異なる。シーンごと、目的別に使い分け出来るようになると実際の結果としても導き出しやすい。

私が夫から求められて来た食事というのは、いつの時代も「結果」という非常にシンプル且つシビアな世界観。

プロセスよりとにかく「結果」。生きている時間は限られている。結果を出せないのなら次への切り替えも素早く、という無言のプレッシャーがあった。

痛いところがあるなら早期に治す食事やケアを求められ、キレが落ちていればキレを確実に元に戻す食事を。

アスリートは言い訳無用、結果が全て。

結果を出さなければクビを切られ、選手生命が終わるように、料理の作り手である私も言わばアスリートと一緒。

 

 

トップアスリート現場では常に結果を確実に出せる鋭利な食事が選手側から求められています。ここにグレーゾーンは存在せず、また一瞬の隙が命取り。いつの時代も崩れ落ちそうな吊り橋を渡っているような崖っぷち感がありました。

自分の手で、自分自身で振り絞り出していくしか方法は無い。だから私も夫と共に、毎食、全身全霊で集中。食事に対して全力で向き合って来ました。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

自身で蒸留する日も。この日はトゥルシーでしょうか🌱

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

私は2005年より本格的に植物化学を学び、化学構造や体内配置を意識しながら野菜を選択するようになりました。例えば我が家のキッチンにずらりと並ぶハーブやスパイスは多量のポリフェノール供給源。お茶を出す量もおそらく一般のご家庭の数十倍は多いかと思われます。余談ですが身近なコーヒーや高カカオチョコもポリフェノールの供給源。

 

 

 

2005年〜2008年は精油化学の嗅覚刺激、経皮吸収利用と、解剖生理学を学びスポーツアロママッサージがメーンでした。2008年にグリーンフラスコと出逢い、そこから更に植物化学成分を活用した栄養学を。トップアスリートのケアに携わる為、並行してアンチドーピングに関しても学び始めました。

●緑の医学

https://yamasefamily.com/archives/project/緑の医学%E3%80%802022年7月23日%E3%80%80ブラッシュアップを更新し

 

以下は第一師匠 林真一郎先生からの言葉。

【植物療法の役割と今後 2020/05/10 研究会レポート  植物療法研究会】

◎文・林 真一郎

●はじめに

医学・薬学の父として知られるギリシアのヒポクラテスは、数多くのハーブを用いたことで知られています。植物療法は世界で最も歴史がある自然療法であり、かつ現代でも社会の健康度を高めるために、セルフケアや臨床の場で大きな期待を担っています。 本稿では植物療法研究会の活動や今後の展望について述べたいと思います。

●植物療法の定義 ~ 医薬品との違い

植物療法とは、植物が自ら生合成するフィトケミカル(植物化学)成分を含んだ粗抽出物を用いて、人が生まれながらにして有している自然治癒力(自己治癒力と自己調節機能)に働きかける療法をいいます。ハーブに含まれている多様な成分から、たった1つの成分を取り出すことを「単離」とひといいますが、1804年にドイツの薬剤師が、ケシ(阿片)からモルヒネを分離したのが初のケースです。アスピリンも1899年に、ホワイトウイロウを原料に化学合成されました。医薬品は単一成分であり、またハーブから抽出するより合成した方がコストが安いので、化学合成品です。一方で、ハーブは天然の多様な成分から成ります。これが医薬品とハーブの根本的な違いです。こうしたことから、医薬品は切れ味が鋭く、ハーブは穏やかな効果をもたらします。現在、使用されている医薬品のおよそ4分の3はハーブか産みの親となっています。

●植物療法とホリスティック医学

当協会の名誉顧問であるアンドルー・ワイル博士も、診療で数多くのハーブを用いることで知られていますが、植物療法とホリスティック医学のコンセプトには共通点があります。植物療法でなぜ成分を丸ごと使うのかというと、多様な成分がネットワークしていて、シナジー(相乗効果)が得られるためです。ジャーマンカモミールには消炎作用をもつカマズレンや抗酸化作用をもつアピゲニン、それに抗糖化作用をもつカマメロシドが含まれています。現代病の多くは慢性の炎症が関わっていますが、炎症と酸化は同時に起こり、酸化と糖化は相まって進行します。したがって単一成分よりも多成分で、網の目のように進行する反応を何カ所かで抑制したほうが、効率が良いのです。また、当協会では人間を「心と体、気、霊性から成る有機的統合体」と捉えていますが、植物療法でも同じように捉えていて、ハーブの多様な成分が人間丸ごとに作用を及ぼすと考えています。

●植物化学成分の食事での活用~ フィトケミカル栄養学

広義の植物療法の新たな領域として、食生活への応用があります。フィトケミカル成分は、ハーブだけでなく野菜や果物にも含まれています。たとえば、ネトルの葉に含まれるクェルセチンはタマネギに多く含まれ、タンポポの根に含まれるイヌリンはゴボウに含まれます。炭水化物・脂質・タンパク質にビタミンとミネラルを加えて5栄養素といいますが、6番目に植物繊維がきて、7番目がフィトケミカル成分です。フィトケミカル成分は微量であり、かつカロリーがゼロなので「微量非栄養素」と呼ばれます。栄養不足の時代にはカロリー源となる3大栄養素の摂取が重要でしたが、飽食の時代、カロリー摂りすぎの時代には細胞を酸化(老化)から守り、生体機能の調整を行うフィトケミカル成分を意識的に摂取することが必要になります。食卓にのぼる野菜や果物の機能性については、わが国だけでなく米国やEUでも盛んに研究されています。国民医療費の削減のために「薬による治療」から「食事による予防」へとシフトしているのです。

 

●植物療法によるセルフケア

現代はさまざまなセラピーがありますが、セルフケアとして活用するには、いくつかの条件があります。まずは安全性で、次にコストが安価なこと。そして、動機付け(楽しみながら続けられること)やエビデンス(科学的根拠)などが求められます。植物療法はこうした条件を満たしています。まず、ハーブティーですが、夕方以後はカフェイン飲料は控え、鎮静系のハーブティーの中から好みのものを、就眠前に香りを楽しみながらゆっくり服用します。ハチミツが好きな方は加えても良いでしょう。生活指導としては、日中に積極的にからだを動かして適度に疲労すること。またスマホなどのブルーライトは生体リズムに影響を与えるので、寝室には持ち込まないようにします。なお、生体リズムは朝の日光によってリセットされるので、朝起きたら光を浴びるようにします。

●植物療法の臨床応用

薬物療法が切り札とならない心の病や、老人性退行疾患の増加などを背景として、現代医学と補完・代替療法のいずれをも視野に入れ、患者中心の医療を目指す統合医療(integrative medicine)の普及が進みつつあります。厚労省でも「統合医療情報発信サイト」の運営などの事業を行い、統合医療の認知と普及を後押ししています。欧米では植物療法はセルフケアだけでなく、現代医療の中でも活用されています。その一例を挙げるとドイツやフランスでは、イチョウ葉エキスは医薬品扱いとなっています。また、欧米では植物性医薬品の開発が相次ぎ、その一部はスイッチOTC薬として、わが国のドラックストアでも販売されています。

ドイツではハーブ製剤による治療カテゴリーを4つに分類しています。その4つとは、

①化学合成薬よりもハーブ製剤の方がファーストチョイスになるもの、

②ハーブ製剤が化学合成薬の代わりに使用できるもの、

③ハーブ製剤がアジュバント(補助)として用いられるもの、

④化学合成薬の効果を妨害したり遅延させたりするためハーブ製剤は禁忌となるもの、です。

具体的には、①のカテゴリーの例として、中毒性肝炎へのミルクシスルや前立腺肥大へのソウパルメット、老化による心臓機能の低下へのホーソン。②のカテゴリーの例として、軽度~中等度のうつへのセントジョンズワートや機能性ディスペプシア(機能性胃腸症)へのジャーマンカモミール、尿路感染症へのクランベリーなどです。クリニックや病院でアロマセラピーが活用されているように、わが国の医療機関でも植物療法が臨床応用される日が早く来ることを期待したいと思います。

●植物療法の今後の展望

今後、植物療法が活用される可能性のある領域をいくつか紹介します。

①メンタルヘルス領域

職場でのプレゼンティズム(不健康な状態での勤務)による労働損失コストは、アブセンティズム(欠勤)によるコストを大きく上回ります。そのため企業側もコストではなく、投資の概念で福利厚生を充実させる傾向にあります。勤務時の健康度を高め、労働生産性を高めるのに、アロマ、ハーブ、バッチは大変役立つツールです。また、今後はヘルスツーリズムで森林療法を体験するなどの試みが増加しそうです。

②介護・高齢者領域

認知症に対するアロマセラピーの有効性や有用性が科学的に検証されたことは、大きなニュースになりました。高齢者の抗不安薬や睡眠薬の使用は転倒などを招くため、作用が緩和なハーブティーなどで対応したいものです。アロマやハーブの活用はポリファーマシーの回避にもつながります。介護施設などで園芸療法を導入するケースもでてきました。ケアラーケアの領域では介護ストレスに対してバッチ博士の花療法が役立ちます。

③緩和ケア領域

スピリチュアルペインに対して、アロマセラピーやバッチ博士の花療法の活用が試みられています。「何もしてあげられない」という家族が患者にオイルマッサージを行うことは、家族にとっての救いにもなり、良き思い出となります。吐き気や便秘、痛みやしびれといった化学療法剤の副作用対策にもアロマやハーブは役立ちます。芳香蒸留水が1本あると芳香浴や清拭、口腔ケアやドライシャンプーと、さまざまな用途に活用できます。

④環境教育

「自然欠乏障害」や「自然欠乏症候群」というキーワードが話題になっています。都市型のライフスタイルは、人が享受すべき自然刺激が得られないため、さまざまな弊害を生んでいます。「人は自然から遠ざかるほど病気に近づく」というヒポクラテスの箴言が思い出されます。アロマやハーブ、園芸療法や森林療法は、自然欠乏障害を改善するツールとして最適です。幼児教育では森の幼稚園や森の学校などの試みも広まっています。

●おわりに

園芸療法や森林療法と聞くとなにやら大袈裟に感じますが、ポット苗をテーブルに置くだけでも気分が変わります。また、たとえば東京でもその気になって探せば、意外に近くに樹木のある公園が見つかります。電車に1時間も乗れば、高尾山などにも出掛けられます。

最近、植物や樹木の健康効果を扱った書籍が頻繁に発売されているのは、そうしたニーズの表れかも知れません。その中で私のお勧め書籍は、森林療法では『温泉・森林浴と健康』(大修館書店)、フィトケミカル栄養学では『食事のせいで死なないために』(NHK出版)、自然刺激の健康効果では『NATURE FIX』(NHK出版)などが挙げられます。

◎文・植物療法研究会・世話人代表 林 真一郎『HOLISTIC MAGAZINE 2020』より

林先生の言葉はここまで。

植物は栄養素だけではなく色素成分や芳香成分などの非栄養素も生合成しており、非栄養成分を上手に取り入れていくと、人間の生体防御機能や恒常性を維持するのに役立つことが立証されてきていることを学習。これらを20年近く日常生活にふんだんに取り入れて来ました。

炭水化物や脂質、タンパク質、核酸は生命維持に必須であるため一次代謝産物と呼びます。一方、植物は光合成の過程で一次代謝産物以外に様々な化学物質を生合成。これらを植物化学成分(フィトケミカルズ)と言い、一次代謝産物に対し二次代謝産物と呼ばれています。二次代謝産物(フィトケミカルズ)は、テルペノイド(精油、サポニン、カロテノイドなど)芳香化合物(タンニン、クマリン、フラボノイドなど)また。アルカロイドを含みます。二次代謝産物は分子構造の違いや物理・化学的性格の違いにより、アルカロイドやフラボノイド、苦味質や粘液質などいくつかのグループに分類することが出来ます。機能は単一成分では決まらず、多様な成分の相乗効果により発現。複数の機能を合わせ持って働いています。


食品の3つの機能として、一次機能(栄養機能)は生命維持、二次機能(感覚機能)は味や香りなどの嗜好、三次機能(体調調節機能)に健康維持、疾病予防、老化抑制などがあります。三次機能を有する成分は、フィトケミカルズや食物繊維といわれる非栄養成分のものが殆ど。食材の色、香り、味は、食欲にかかわる大切な要因となり二次機能に分類。

近年、色素成分、芳香成分、旨味成分がぐっと注目されるように。昔から言われるお弁当には「赤、緑、黄色」や、薬草やスパイスの香り、食べ物の苦味や酸味といった味が、フィトケミカルズそのもの。人間はこれらの機能性を五感を通して受け入れて生きています。

植物性食品のフィトケミカルズであるポリフェノールは、光合成によって作られる植物色素や苦味の成分。ベンゼン環上に、水酸基を2個以上持つ化合物の総称。カテキン、アントシアニン、イソフラボンなど無数にあると言われます。また、カロテノイドは8個のイソプレンから構成。共役二重結合を数多く有します。カロテノイドはカロテン類(βカロテンやリコピンなど)とキサントフィル類(ルテイン、アスタキサンチンなど)に分けられます。

嗅覚以外の感覚は大脳新皮質から大脳辺縁系に伝えられますが、嗅覚刺激は大脳辺縁系に直行。快・不快や情動に大きな影響を及ぼします。例・特殊な脳波を測定することにより香りの心理作用研究。強い鎮静を示したものはサンダルウッド、ベルガモット(東邦大学名誉教授 鳥居鎮夫)

味覚は嗅覚とも関連。口腔内の溶解物質は味覚受容器により大脳へ伝えられ、酸味は消化機能の亢進、苦味は肝機能の向上、甘味は精神的満足や活力、渋味は収斂や粘膜保護に。触覚刺激となる皮膚の表皮は発生学的には脳や中枢神経と同じく外胚葉から形成。快い触覚刺激は生命力を回復。これがタッチング論へと展開。(嗅覚と触覚を用いたアロマテラピーマッサージ)

春夏秋冬、五感をフル活用。栄養素、非栄養素。野菜、果物、スパイスやハーブ、嗅覚や触覚を揺さぶるアロマテラピーを用い、日常のあらゆる要素を円を描くようにしながらたくさんの視点や分岐を持って眺めていけるようになって初めて、食が変わるのを実感出来るようになりました。

フィトケミカル成分にはポリフェノールやイソフラボン、含硫化合物などがあり、抗酸化作用や抗糖化作用、エストロゲン様作用や代謝促進作用など多様な作用をもたらします。(構造活性相関など)

例えばブロッコリーに含まれるイソチオシアネートなどの含硫化合物は、肝臓のフェーズⅡ酵素を誘導して解毒を促しますが、従来のカロリー摂取を目的とした栄養学にプラスし、アンチエイジングやデトックスを目的としたフィトケミカル栄養学や機能性栄養学を用いて、現役24年目となるアスリートの夫の怪我からの復活やパフォーマンスアップ、老化を緩やかにする対策に挑んできました。この植物化学成分は生活習慣病やアレルギー、老年病の予防に役立てることも出来ることで近年注目が集まっています。

また、ホリスティック医学のホリスティックとは「全体、包括的」という意味。心と身体は不可分のもの。そこで、心・身体・精神性・生活環境までを含め、統合的な観点から病気を捉え、治療を行っていこうというのが『ホリスティック医学』。

フィトケミカル(植物化学)成分のような『緑の医学』はこの主要な担い手になれると、自身が通っていた学校のグリーンフラスコ代表、2020年より日本メディカルハーブ協会理事長に就任した林真一郎先生は考えていらっしゃいます。

 

 

 

 

 

 

 

 

近年多くの疫学調査で野菜や果物などの植物の摂取と生活習慣病予防の関連性が明らかになってきたことから、植物に含まれる化学成分の有効性に関する研究が盛んになりました。この中で注目されているのがポリフェノール。ポリフェノールは分子内に複数のフェノール性水酸基を有する芳香族化合物の総称。植物全般に含まれています。

メモ

活性酸素除去作用はポリフェノールが強い。例 ルテオリン、ケルセチン、アピゲニン等。精油も抗酸化作用を持つ。活性酸素は様々な種類があり、消去する力が精油の方が得意なものもあり、それぞれに意味があり役割がある。

ポリフェノールは水溶性の為、ハーブティーで多く抽出出来る。芳香蒸留水にも精油、フィトケミカル成分があるが、やはりハーブティーが圧倒的と言える。何故ならばポリフェノールが溶け込んでいるから。

ポリフェノールを日本人は何からとっているかと言うと例えばお茶やコーヒー🍵

上記クェルセチン(ケルセチン)の構造式、分子構造は、六角形のベンゼン環、ベンゼン環にOH→(水酸基と呼ぶ)。ベンゼン環に直接水酸基のOHがくっついている→フェノール系水酸基と呼ぶ。これが抗酸化力が強い、活性酸素を除去する。ケルセチンはフェノール系水酸基が四つもあることが分かります。

ポリフェノールの定義は、分子の中にフェノール系水酸基が二つ以上あること。ポリというのはたくさんという意味。ケルセチンはフェノール系水酸基が四つもある為、かなり抗酸化力が強いというのは分子構造を見ただけで分かる。更にフェノール系水酸基の位置が並んでついており、隣同士につくのが1番強い。

ということで、ケルセチンは非常に抗酸化力が強いということが分かる。メディカルハーブ各論では具体的に、ネトル、白樺に入っており近年注目を浴びています。

 

 

 

 

 

 

 

更にフラボノイドは植物の葉、茎、果実、種実、花弁などに4000種類以上の存在が報告されており、日常摂取する食品の中にも様々な形態で含まれます。これまでの研究から抗酸化活性、LDL酸化抑制作用、抗変異原活性、血圧上昇抑制作用、抗アレルギー作用などがあることが明らかとなっており、研究も盛ん、様々な有効性が明らかに。

フラボノイド類の「フラボ」は黄色という意味を持ち、この骨格を持つ化合物は黄色から淡褐色を呈します。同じフラボノイドでもアントシアニンは例外。鮮やかな赤や青を示す成分です。

フラボノイドには共通の基本骨格にケトン基や水酸基がついたもの、あるいは離脱したものの違いにより、フラボン、フラバノン、フラボノール(カテキン)、イソフラボン、カルコン、アントシアニジン各種が存在。それぞれ単独で存在するだけでなく、糖と結合した配糖体を形成している化合物も多く存在。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フラボノイドの生物学的効果の多くは、その抗酸化活性よりも細胞シグナル伝達経路の調整能力に関係しているという説も。

 

 

 

 

昔は大の野菜嫌いだった夫。今や野菜が少ないと(少ないといっても通常よりはかなり多いと思いますが)指摘してくるようにさえなりました。ハーブ系、スパイス系料理は今や夫の大好物!

繰り返しになりますが、お茶を出す頻度、種類も凄まじく多い我が家。

 

 

 

 

 

しかし本当はバリバリの甘党で、引退したら普段節制して食していない生クリームのプールに飛び込みたいという夢を持っている抜け感やバランス感覚も功治さんはいい感じなんですよね😆

過去に投稿したアスリート関連記事を纏めました。

●植物療法

https://yamaserieko.cookpad-blog.jp/articles/295473

 

●植物化学成分 1

https://yamaserieko.cookpad-blog.jp/articles/288001

 

●植物化学成分 2

https://yamaserieko.cookpad-blog.jp/articles/288002

 

●薬草、アロマテラピー

https://yamaserieko.cookpad-blog.jp/articles/105461

 

●ハーブを育てる

https://yamaserieko.cookpad-blog.jp/articles/290139

 

●ハーブを使う

https://yamaserieko.cookpad-blog.jp/articles/184121

 

●スポーツアロマトレーナー

https://yamaserieko.cookpad-blog.jp/articles/244985

 

●香り成分に注目 2006年の日記から

https://yamaserieko.cookpad-blog.jp/articles/262672

 

●アスリート食 1

https://yamaserieko.cookpad-blog.jp/articles/287996

 

●アスリート食 2

https://yamaserieko.cookpad-blog.jp/articles/287997

 

●アスリート食3

https://yamaserieko.cookpad-blog.jp/articles/287998

 

●回復の誤差

https://yamaserieko.cookpad-blog.jp/articles/288014

 

●ドーピングコントロール 1

(選手への身体のケアについて)

https://yamaserieko.cookpad-blog.jp/articles/288025

 

●ドーピングコントロール 2

(選手への身体のケアについて)

https://yamaserieko.cookpad-blog.jp/articles/288026

 

●怪我回復食2004年の日記から

https://yamaserieko.cookpad-blog.jp/articles/235887

 

●怪我回復メニュー

https://yamaserieko.cookpad-blog.jp/articles/288246

 

●回復スープ

https://yamaserieko.cookpad-blog.jp/articles/114963

 

●試食と試作

https://yamaserieko.cookpad-blog.jp/articles/146628

 

●実験

https://yamaserieko.cookpad-blog.jp/articles/270881

 

●3年間の連載を振り返る

https://yamaserieko.cookpad-blog.jp/articles/186905

yab山口朝日放送 「YOU!どきっ」生放送  2023年11月9日放送 レシピ栄養構成解説 長寿研究で話題の酪酸菌を育てる日本古来の食事 【秋の味覚の甘辛ハーモニーご飯】

yab山口朝日放送 「YOU!どきっ」生放送  2023年11月9日放送 レシピ栄養構成解説 長寿研究で話題の酪酸菌を育てる日本古来の食事 【秋の味覚の甘辛ハーモニーご飯】

 yab山口朝日放送 「YOU!どきっ」生放送

2023年11月9日放送 レシピはこちらから

https://www.yab.co.jp/youdoki


早速食レポが届いています!!!!!!

番組終了後のインスタライブの際に既に作り始めていますとおっしゃっていたようこママさん!ようこママさんが毎回、本当に神業で食レポくださり、そのスピード感とクオリティの高さ、アレンジ力に、山口朝日放送内でも話題沸騰‼️🤣めちゃくちゃ美味しそうですし、酪酸菌活性化しまくり、もう最高です‼️ようこママさん!いつも本当にありがとうございますヽ(;▽;)




腸は第二の脳、体内最大の免疫機関と呼ばれるだけでなく、何と老化にも関係していることが分かって来た。そもそも全身のあらゆる不調に腸の不調が関わっており、腸内細菌は様々な臓器と密接に関わっているという事実がある。

数ある腸内細菌の研究の中でも今、注目が集まっているのが酪酸菌

最新の研究では酪酸菌ががんや糖尿病の予防、筋力アップ、花粉症の改善、さらには新型コロナの重症化予防など、さまざまな驚きの作用をもたらすことが分かっている。

今回は腸内細菌研究の第一人者、内藤裕二先生の長寿研究にスポット。2023年9月6日に内藤裕二先生の講義を受講。ここでインプットしたものをレシピ化しましたのでシェアさせていただきます。

京都府立医科大学大学院
医学研究科 教授
内藤裕二 先生


消化器専門医として最新医学に精通し各地で講演も行っている。消化器病学や消化器内視鏡学、生活習慣病の他、健康長寿や抗加齢医学、腸内フローラや酪酸菌研究も専門としており、「京丹後長寿コホート研究」で腸内フローラ解析に携わっている。酪酸菌と健康長寿の関係などの研究をはじめ、長年腸内細菌を研究し続けている本領域の第一人者。

その他、参考
Dr.江田 証(えだ・あかし)先生

医学博士、江田クリニック院長
自治医科大学大学院卒。日本消化器病学会奨励賞受賞。米国消化器病学会(AGA)インターナショナルメンバー。日本消化器病学会専門医。日本消化器内視鏡学会専門医。「世界一受けたい授業」(日本テレビ)などテレビやラジオ、雑誌などに多数出演。著書に『新しい腸の教科書』(池田書店)、『腸のトリセツ』(学研プラス)、『小腸を強くすれば病気にならない 今、日本人に忍び寄る「SIBO」(小腸内細菌増殖症)から身を守れ!』(インプレス)など多数。著書累計は90万部を突破し、そのうち5冊が中国や台湾、韓国など海外で翻訳されている。

酪酸とは?
腸内細菌の酪酸菌(酪酸産生菌)が腸に届いた食物繊維を発酵・分解することで作り出される、短鎖脂肪酸の一種。酪酸が腸内環境を整えてくれているからこそ、乳酸菌やビフィズス菌は生きていける

重要!内藤先生の研究データから
健康で元気な長寿者の多くの腸内細菌を調べると(「京丹後長寿コホート研究」)食物繊維をエサにして『酪酸』を作る『酪酸産生菌』の割合が高いことが判明した!

と言っても酪酸菌を含む食品はほとんどなく、食事から酪酸菌を摂るのは難しいのが現状。しかし、体内の酪酸菌を増やすために有用な方法の一つに「食事」がある。食事を工夫することで腸内の酪酸菌を育てることができるため。

酪酸菌は、腸内細菌のエサとなる食物繊維を摂ることによって育てることができる。

食物繊維は大きく分けると水溶性と不溶性があり、特に腸内細菌のエサになりやすい水溶性食物繊維を意識して摂ることが大切。水溶性食物繊維は海藻類や果物類、不溶性食物繊維は穀類や豆類に多く含まれる。例えば、わかめや昆布、大豆、サツマイモなどが挙げられる。更に今、特に注目されているのが、食物繊維のなかでも腸内でより発酵しやすく有用菌のエサになりやすい「発酵性食物繊維」。これは、水溶性食物繊維の多くと不溶性食物繊維の一部を指し、発酵性食物繊維を多く含む代表的な食材は、大麦や小麦全粒粉などの穀類、野菜類、果物類、海藻類、豆類など。発酵性食物繊維を栄養源として、短鎖脂肪酸を産生し、腸内細菌叢のバランスを良い状態に保つ。

大麦などの雑穀や根菜類、海藻類などの「発酵性食物繊維」に注目!

代表食材
穀類(大麦や玄米)、野菜類(玉ねぎ、大根、ごぼう、さつまいも)果物類(アボカド、キウイ、イチゴ)海藻類(わかめ、昆布、ひじき)豆類(大豆)

発酵性食物繊維には、その種類によって、腸内で発酵する場所、食べてから発酵するまでの時間が異なるという特徴が。水溶性のものは主に腸の入り口から真ん中あたりで、不溶性のものとレジスタントスターチは腸の奥で、善玉菌のエサとなって発酵。また、この発酵は、腸の入り口では食物を食べてから4〜6時間程度、真ん中では8〜10時間程度、奥では16時間以上経ってから生じると見られている。一日を通して腸内環境を良い状態に保つためには、いろいろな種類の発酵性食物繊維を摂ることが肝。(多様性が大事だから)

健康長寿の方は、肉類やバターなどの動物性脂肪よりも、魚を食べている人が多かった。2つ目は、モズクやワカメ、ところてんなどの海藻類、豆類、根菜類を毎日の食事でしっかりと摂っていること。そして3つ目は、毎日の主食に麦ごはんや玄米など、雑穀類をとり入れている人が多かったという点。

つまり「食物繊維」をしっかりと摂る食生活を送っていることこそが、善玉菌の割合が多い理由だった。

腸内環境をよくするには、酪酸産生菌を含む善玉菌を腸内で増やすことがカギ。そのためにも、まずは善玉菌のエサとなる発酵性食物繊維(雑穀類、海藻類、豆類、根菜類など)をとるのが大切。また、発酵を起こす菌そのものを補充することも必要です。善玉菌が少ない人の場合は、発酵食品を積極的にとるように心がけると、善玉菌の働きがよくなる。


発酵食品
微生物の働きで作られている発酵食品は善玉菌を増やし、腸内細菌が体によい物質を産生するのを助けてくれます。

・植物性乳酸菌/ぬか漬け、キムチなどの漬物
・納豆菌/納豆
・麹菌/味噌、醤油、甘酒、塩麹、米酢など

「医学の父といわれるヒポクラテスは『すべての病気は腸から始まる』という言葉を残しています。免疫力を高めることはもちろん、健康で長生きするためにも、善玉菌を増やす食事を意識して、腸の免疫力をアップさせよう

また、健康で長生きするためには酪酸菌を育むことと筋肉を減らさないこと。

筋肉を増やして萎縮・減少を防ぐためには腸内に酪酸を増やすことが大事。日本人は酪酸が多い人ほど筋肉も多い。腸内の酪酸菌の量と筋肉量が比例している。そして日本人にとって身近で簡単に手に入る酪酸を増やす食材(つまり酪酸をつくる酪酸菌を活性化する食材)が「海藻類」。日本人が先述した海藻などを食べると、海藻に含まれる水溶性食物繊維をエサとする酪酸菌が腸内で活発になって酪酸を産生する。酪酸が増えることで筋肉の減少を防ぐことができる。


結論
年をとっても元気でいるためにはどうすればいいのか!?

→重要なのは筋肉を維持すること。更に、日本人独特の腸内細菌によって、発酵性食物繊維、特に海藻類(良質なたんぱく源でもある)を食べることで筋肉の減少を防ぐことができる。

(この腸内細菌の長寿研究に出逢ってから山瀬は運動を休まず頑張り始めることに大成功しました)

酪酸と筋肉の関係も少しずつ分かってきた。京都・京丹後市の人々は、あまり肉を食べないのに筋肉量が多く、長生きする人が多いことから研究を行ったところ、酪酸を増やす食生活をしていることが判明。

ごぼうや豆、ひじきなどの海藻類などを食べることで、酪酸産生菌の一種であるラクノスピラという腸内細菌が増え、つくられた酪酸が筋肉を増やしている。

適度な筋力、適切な筋肉量は健康長寿を達成する上で重要な要素である。「腸」と「筋肉」には非常に深い関係性があり、腸内細菌のバランスによって筋肉のつき方に違いが生まれる可能性が指摘されている。これを「腸筋相関(ちょうきんそうかん)」という。つまり、「腸内細菌が乱れていると十分に筋トレの効果が得られず、筋肉がつきにくくなる」

筋肉はただ体を支え、体を動かすためだけのものではない。筋肉も他の臓器と同じように、生命活動に必要なホルモンを分泌する重要な「内分泌器官」なのである。しかも筋肉は、がんの発生やがん細胞の増殖を防ぐ“天然の抗がん剤”とも呼べるホルモンをたくさん分泌している。

イギリスの超一流の医学雑誌『GUT』で発表された論文では、筋肉から分泌される「SPARC(スパーク)」というホルモンが血流にのって大腸まで届き、そこで大腸がんの発生を抑制する働きをしていることが報告されている。つまり、「筋肉量が多い人ほど大腸がんになりにくい」可能性があるということ。運動して筋肉量を維持することで、大腸がんのリスクを減らすことができるのである。

世界でもっとも権威のある内科系医学雑誌『The Lancet』にも、大腸がんや乳がんの10%は「不活動(運動不足)」が原因であるという報告が掲載されている。

適度な運動に加え、酪酸菌を増やすことがわかった日本古来の食事で筋肉を維持し、常に増やすように心がける。酪酸菌を増やし、筋肉を増やすためにも今まさに必要なこと。

ひじき(酪酸菌を活性化するのに注目の海藻類の一種)
酪酸菌を活性化する食物繊維だけでなく、あらゆる生活習慣病の予防になるβカロテンやマグネシウムも豊富。海藻類は筋肉作りにおいても現在、非常に注目を浴びている。

ごぼう(酪酸菌を活性化)
植物療法でのごぼうは排毒・血液浄化系のメディカルーブとして湿疹や腫れもの、ニキビなどの皮膚病、リウマチや通風予防に用いられる。(利尿や緩下、利胆目的)カルシウムや亜鉛、鉄などのミネラルも多く含み、先端の皮、根の皮、中央の皮の順に鉄分が豊富。不溶性のリグニン、水溶性のイヌリンなど多くの食物繊維を含み、注目は血中の中性脂肪低下や血糖値コントロールなどの生活習慣病予防に役立つ水溶性食物繊維のイヌリン。イヌリンは腸内細菌の資化性も高く利用される。脂肪の蓄積を防ぐフェニルプロバイド類のクロロゲン酸(抗酸化作用、抗老化作用を持つポリフェノールの一種。ポリフェノール含有量トップは根の皮部分)は水に対する溶解性が高くハーブティーでも抽出出来る。多くは皮に含まれる為、皮はむかずにたわしなどで優しく洗うと出来る限り損失少なく摂取できる。皮ごとの輪切りでスリミング作用が期待できるポリフェノールやカルシウム、マグネシウムなどミネラルの残存率が高くなる。

☞発酵生食物繊維が豊富なごぼう(短鎖脂肪酸の産生を高める注目成分はイヌリン)

ごぼうを食べる→腸内細菌の餌になる=イヌリンを腸内細菌が食べる。この細かなメカニズムとしては、イヌリンの鎖を切る消化酵素を腸内細菌が持っていて、厳密にはその切ったものを食べている。腸の粘膜の細胞がそれをまた餌にしているので、イヌリンを摂取すると腸の粘膜が丈夫になるという特徴がある。更に腸内細菌はイヌリンを餌にして食べることで「代謝物」を出す

⇨これが今、 腸活で話題の「短鎖脂肪酸」(酪酸、プロビオン酸、酢酸など) 。

短鎖脂肪酸は体脂肪を減らしたり、基礎代謝の向上(抗肥満作用)腸脳相関の観点では鬱にも◎。皮の部分に豊富なクロロゲン酸は、脂肪肝、糖尿病予防効果、ダイエットにも使用される。あく抜きすると水溶性食物繊維やポリフェノール、ミネラルが減ってしまう。泥付きごぼうは土壌菌も取り入れられるので腸内細菌に多様性も。抗酸化成分は野菜トップクラスなので是非、泥付きごぼうを皮ごとあくぬきせずに使いたい。

尚、これは余談だがヨーロッパ原産のバードック(ごぼう)は日本では食用に供されるため野菜(根菜)として認識されるが、欧米ではもっぱらメディカルハーブとして古くから用いられて来た。主に湿疹や腫れもの、ニキビ、蕁麻疹などの皮膚病やリウマチ、痛風などの代謝性疾患に血液浄化を意図して内用や外用で用いられ、利尿や緩下、利胆の目的にも使われている。

 「 バードック(ゴボウ)」

【 学 名 】Arctium lappa
【 科 名 】キク科
【使用部位】根、葉(果実は医薬品成分)
【主要成分】ポリフェノール類(クロロゲン酸)、食物繊維(イヌリン、セルロース、リグニン)
【 作 用 】利尿、発汗、血糖値上昇抑制
【 適 応 】便秘、吹き出物、肌荒れ

バードックの根にはイヌリンやリグナン系の苦味配糖体アルクティインを含むためトニック効果を発揮。近年の研究では抗変異原性や細胞増殖抑制作用が報告されているが、欧米では古くから悪液質の治療や植物腫瘍学の分野で処方されてる。また、血糖値を下げる作用についても報告がありフランスなどの伝統的な使用法を裏づける結果になっている。

イヌリンは水溶性食物繊維でヒトの消化酵素では分解されず、大腸に届いて腸内細菌の栄養源に。その結果、ビフィズス菌などの有用菌が優勢となり腸内環境を改善。また、カルシウムなどのミネラルの腸管からの吸収を高めることが知られる。さらに腸内細菌による代謝の過程で短鎖脂肪酸が生成。最近の研究では酪酸などの短鎖脂肪酸は腸のバリア機能を向上させることでアレルギーや関節リウマチ、糖尿病などを招くリーキーガットシンドローム (腸粘膜浸漏症候群 )の改善にも役立つことが明らかになった有用なプレバイオティクスである。

生姜
ショウガオールは血行促進作用や、体を温める働きがある他、新陳代謝を活発にし発汗作用を高める働き。生のまま摂取するよりも乾燥させたものか、加熱調理することでより身体を温める効果が大きくなる。ショウガオールは胃腸の内壁の血行を促進し、胃腸の働きを活発にして食べ物の消化吸収を高めること、ジンジベインがたんぱく質の分解を助け、胃腸の負担を軽減。生姜は毎日摂取したい超優秀野菜。皮にポリフェノールが凝縮

さつまいも(酪酸菌を活性化)
食物繊維が豊富なことはよく知られているが、水溶性と不溶性食物繊維がバランスよく含まれており、便通だけでなく、血糖値の抑制などにも有効。GI値が58と玄米と同等で、生活習慣病に対し有用な素材。またカリウムやマグネシウム、鉄、ビタミンC、ビタミンE、B1、ポリフェノールなども豊富。穀物と野菜の両面を持っている準完全栄養食品とされている。実はさつまいものアミノ酸値は小麦やとうもろこしよりも高く、植物では最高水準。実際、オセアニアのパプアニューギニアやサモアたちの筋骨隆々な男たちもさつまいもを主食にしている。彼らポリネシア人は日本人と同じモンゴロイド。日本人の体質とも相性が良く、体力増強効果が期待される。筋トレの補助食品としても理想的。筋肉の合成と関わりの深いビタミンB6も多いため、タンパク質と合わせて摂取するのが効果的。また、皮にはアントシアニン色素が豊富。(アントシアニンに抗酸化作用)

大豆(酪酸菌を活性化)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000035737.html

大豆研究資料
https://www.nibiohn.go.jp/eiken/info/5thsympo/ishimi_24feb04.pdf

「大豆は不溶性食物繊維」というこれまでの常識が覆る

蒸し大豆は“水溶性食物繊維”も多いことが判明。その他植物性たんぱく質やサポニン、ポリフェノールなどの機能性成分が多く含まれており、最近、これらの健康に及ぼす効果が注目されている。この近年、再び大豆の機能性に研究者の注目が集まっている印象!講義数も多いです。たんぱく質、ビタミンB1、ビタミンB2、葉酸、ビタミンE、ビタミンK、マグネシウム、カリウム、食物繊維、大豆オリゴ糖、レシチン、ギャバ、大豆イソフラボン など 天然のマルチサプリ。

発酵性食物繊維には、もち麦やオートミールなどに含まれる〈β‒グルカン〉、キウイなどの果物に含まれる〈ペクチン〉、ごぼうやらっきょうなどに含まれる〈イヌリン〉、豆類やバナナ、玉ねぎなどに含まれる〈オリゴ糖〉、海草に多い〈アルギン酸〉などがあります。これらは水溶性食物繊維。不溶性食物繊維では、全粒粉や小麦ふすま、玄米などに含まれる〈ヘミセルロース〉が発酵性食物繊維。そのほか、豆類やいも類、とうもろこし、冷やご飯などに含まれる〈難消化性でんぷん(レジスタントスターチ)〉も発酵性食物繊維。こういった食品をとることで発酵性食物繊維の効果が期待でき、酪酸菌を育てる。