緑の医学

野菜や果物に含まれる成分には炭水化物や脂質、タンパク質の三大栄養素に加えて、ビタミンやミネラル、食物繊維があります。そして「第7の栄養素」として注目を集めているのが、自身が現在専門とし、2005年頃から継続して学び続けているフィトケミカル(植物化学)成分。

2005年〜2008年は精油化学の嗅覚刺激、経皮吸収利用と解剖生理学を学びスポーツアロママッサージがメーンでした。2008年にグリーンフラスコと出逢い、そこから更に植物化学成分を利用した栄養学をとりいれています。並行してアスリートをサポートしているためアンチドーピングに関しても学びました。

フィトケミカル成分にはポリフェノールやイソフラボン、含硫化合物などがあり、抗酸化作用や抗糖化作用、エストロゲン様作用や代謝促進作用など多様な作用をもたらします。(構造活性相関など)

例えばブロッコリーに含まれるイソチオシアネートなどの含硫化合物は、肝臓のフェーズⅡ酵素を誘導して解毒を促しますが、カロリー摂取を目的とした栄養学にプラスしてアンチエイジングやデトックスを目的としたフィトケミカル栄養学を用い、現役22年目となるアスリートの夫の怪我からの復活やパフォーマンスアップ、老化を緩やかにする対策に挑んできました。この植物化学成分は生活習慣病やアレルギー、老年病の予防に役立てることも出来ます。

また、ホリスティック医学のホリスティックとは「全体、包括的」という意味です。心と身体は不可分のもの。そこで、心・身体・精神性・生活環境までを含め、統合的な観点から病気を捉え、治療を行っていこうというのが『ホリスティック医学』。フィトケミカル(植物化学)成分のような『緑の医学』はこの主要な担い手になれると、自身が通っていた学校のグリーンフラスコ代表で2020年より日本メディカルハーブ協会理事長に就任した林真一郎先生は考えていらっしゃいます。

以下、林先生の言葉です。

【プロフィール】

グリーンフラスコ代表 東邦大学薬学部薬学科卒 薬剤師 臨床検査技師 東邦大学薬学部客員講師 日本赤十字看護大学大学院非常勤講師 静岡県立大学大学院非常勤講師 城西大学薬学部医療栄養学科非常勤講師 著書に『臨床で活かせるアロマ&ハーブ療法』南山堂 『高齢者介護に役立つハーブとアロマ』東京堂出版 『メディカルハーブの事典』東京堂出版 ほか多数

「『緑の医学』は夢の特効薬ではありません。かといってファッションでもない。その中間。ぼくは、自然を重んじる態度と科学的な思考のバランス感覚、両方を兼ね備えていることが大切だと思うんです。医と食が切り離されて考えられる西洋とは違い、日本には〝医食同源〞の考え方が暮らしの基本にあります。『緑の医学』を受け入れる素地はあるんです。日本には世界に誇る保険制度があり、誰もが一定水準の医療を受けることができます。それは素晴らしいことなんですが、そのため日本人は予防医学への関心が欧米に比べ非常に低い。これは問題です。人生を豊かに暮らすためには、健康は自分で守るという意識が大切だと思うんですよ。

高齢者や精神疾患を持つ方などは、自律神経の働きに不具合が出やすく、「夜眠れない」と訴えるケースが増えます。これは、本来昼に活発になる交感神経と、夜に優勢になる副交感神経のバランスが崩れていることによる症状。そのようなときは、ハーブやエッセンシャルオイルなどによる自然の刺激で体のリズムを正常に近づけることで、健康を取りもどすことができます。また、家族の介護を担う人に掛かる心身の負担の軽減にも、『緑の医学』は有効。

更に『緑の医学』には〝つながりを取り戻す力〞があります。心と身体、人と人の関係も。以前、終末期を迎えた父親に疎遠になっていた娘さんが毎日アロママッサージをして、親子関係を取り戻せたという話をしてくれた方がいます。これこそ『緑の医学』の利点です。

『森は自然のホスピタル』という言葉がありますよね。本来は、人は自然のなかにいて、本物の自然に触れているのがいいのだと思います。香りだけではなく、視覚や聴覚など、五感六感すべてによい刺激が得られますから。でも現代生活ではそれができない人が多い。だから、ハーブやエッセンシャルオイルなど、自然の一部を切り取ったものを生活に取り入れて、本来のバランスを取り戻す。ハーブやアロマテラピーを愛する人たちにも、ぜひ本物の森へ、自然に足を運んでほしい」

林先生の言葉ここまで。

野菜や果物、ハーブ、スパイスには多様な抗酸化成分が含まれ、これらはネットワークを組んで相乗効果を発揮します。

植物化学成分は分子構造や物理、化学の性質によりいくつかのグループに分類されます。抗酸化ネットワーク相乗効果があるように植物化学は「丸ごと」摂取することが有効性と安全性の両面で良いとされます。

先ほども例にあげましたが注目が集まるブロッコリーや、その他にもほかにもパプリカに含まれるポリフェノールやカロテノイド、また含硫化合物を含む野菜や果物なども、単一成分ではなく丸ごとがセオリーに。

アカデミーの学生さんにもシェアさせていただいるローズヒップはビタミンCの爆弾と呼ばれていますが、ビタミンCの効果を増強させるフラボノイド(フラボノイドはビタミンCのバイオアベイラビリティー=生物学的利用率を向上させる)や果実酸、体内でビタミンAに変換されるカロテノイド色素のカロテン類(リコピンやβカロテン)ビタミンEなども含まれ、ビタミンEを摂取したい場合は抽出した果実、丸ごといただくようにします。 ここにクエン酸、リンゴ酸、ハイビスカス酸などの植物酸が豊富なハイビスカスとの組み合わせれば相乗効果で疲労回復効果も抜群。

○ハイビスカス Hibiscus(昨年から栽培)

我が家の庭造り

https://yamaserieko.cookpad-blog.jp/articles/582041

グリーンフラスコデータベースより転載

フランスでカルカーデ(karkade)と呼ばれるハイビスカス(ロゼル草)の語源は古代エジプトの美の神ヒビスに由来すると言われています。現在ではエジプトやスーダンの他に中国などでも栽培されており、さわやかな酸味と鮮やかなルビー色のハイビスカスティーは世界中で女性の人気を博しています。ハイビスカスティーの名を一躍世に広めたのは東京オリンピックの際にマラソンの王者アベベ選手やドイツの選手団がハイビスカスティーを天然のスポーツドリンクとして試合中に飲み、見事に金メダルを獲得したことによります。その秘密は酸味のもとであるクエン酸やハイビスカス酸などの植物酸やミネラルが体内のエネルギー代謝と新陳代謝を高め、スポーツによる肉体疲労を回復させることにあります。天然のビタミンCを豊富に含むローズヒップとのブレンドは栄養補給や美容効果を高め、またハイビスカスの鋭い酸味をまろやかに変えて飲みやすくすることからも最適のブレンドと言えるでしょう。新たな適応として収縮期血圧低下による高血圧改善が分かったとのこと。

(先月、最新の林先生の研究解説講義を受講しましたが新たに出ていた機能性が血管機能改善による生活習慣病予防効果)

ローズヒップ

ローズの偽果から一般に種子と言われる果実(小堅果)や白毛を十分に取り除き乾燥したものです。この白毛が皮膚につくとまれにかゆみを生じます。カニナ種のローズが「ドックローズ」と呼ばれるのはその昔、狂犬病の犬に咬まれた際に用いられたためとされています。ローズヒップはレモンの20~40倍のビタミンCやフラボノイド・ペクチン・果実酸・ビタミンE・タンニンなどを含み、偽果の赤い色はリコピンやβ-カロチンなどのカロチノイド色素です。このためローズヒップはビタミンCの補給や緩和な利尿作用、それにペクチンや果実酸による緩下作用を目的に用いられます。ビタミンCはコラーゲンの生成にも関与するので、シミやしわの予防にハイビスカスとブレンドして美容茶としたり、発熱時の口渇に茶剤を冷やして服用すると効果的です。ローズヒップ油(圧搾油)の脂肪酸組成はリノール酸(44%)やアルファリノレン酸(36%)など必須脂肪酸に富み、組織の損傷や瘢痕の修復に外用で用いられます。

ローズヒップとハイビスカスブレンドはふくやYouTube夏休み特別企画他ファイトアスリート飯企画でもレシピ開発に利用しました🍵

https://yamaserieko.cookpad-blog.jp/articles/417213